有田あんの記録

劇団鹿殺し劇団員、兼 野生児童主宰です。

チームワークが足りないんじゃない?

「チームワークが足りないんじゃない?」
爽快な一言だった。
私は、「大人」を演じるのを諦めた。

1ヶ月ほど前、えのもとぐりむ×若手公演第二弾「嘘つき歌姫」という舞台が無事に閉幕。
小劇場の客演先では初の20ステージ。誰一人共演したことがないカンパニー。

自分も若手役者だという意識で望んだが、周りには自分よりもっと若い役者さん達。
私は「大人」として、とにかく自分の役をきちんと、やらないと!と思っていた。その為、意図的に周りと距離をとっていた。
稽古が進むにつれみんなに情が湧き話し合いに参加したり、相談に乗ったりするようにはなっていたが、「大人の距離感」に気をつけていた。

本番に近づき、稽古はいよいよ追い込みへ。各々の課題も見え始め、稽古場の熱もヒートアップ。役者たちの視野はどんどん狭くなり、自分の芝居はどうなのか、どうしたら良いのかそんな思いでパンパンになっていた。

それをあえて破裂させたのは演出家のぐりむさんだった。

「あのさぁ、なんで、上手くいってない人に声かけないの?お前やべぇよって。もっとこうした方が良いよって。言えばいいじゃん。チームワークが足んないんじゃない?だからだめなんじゃない?」

当たり。図星。そんな雰囲気が漂った。
誰もすぐに返事をできなかった。だが、同時に爽快だった。


作演出の、 えのもとぐりむ さん

はぁーーーー。
身体の力が抜けていった。余計なことを考えず、最後まで、しんどくなるまで走ろう。
この作品をお客様に届けるために全力で。

それからは、無意識に避けていた10代の子達とも話し始め、積極的にみんなと関わっていった。結果的に私は作品も、みんなのこともめちゃくちゃ大好きになって、もうそれはそれはずぶずぶの関係になった。

大人とかまだわからん。
ただ、どんな形であれ作品に関わったら「良い作品をお客様に届ける」。迷ったらシンプルにこれだけを考えて走る。有田あんとしての出演第1作目で私は自分にとって大きな芯を得ることができた。

余談ですが、「あんさん」って稽古場で呼ばれるたびに、新しい自分がそこにいる気がして密かにうきうきしていたのでした。


20ステ一緒に走り、楽屋隣やった飯田來麗ちゃん


旧友 北沢役で、芸人さんの凄さを感じさせてもらった安達健太郎さん


歳下だけど、弱音聞いてもらってた坊屋たいと


最初、唯一話していた相手役の山内涼平

大切な仲間ができた公演でした。
遅ればせながら、沢山のご来場、本当にありがとうございました。

マンハッタリー豊島役 有田あん