有田あんの記録

劇団鹿殺し劇団員、兼 野生児童主宰です。

25歳の母と友達になる

緊急事態宣言が解除され、街が少しずつ動き出しましたね。

私も空白だったスケジュールが本当に少しずつ、埋まり始めました。

皆さんの生活にも変化があったでしょうか?

 

今日は自粛生活が始まってからとある事情があり出会った、中国の女の子、リンちゃん(仮名)25歳とのお話を書きたいと思っています。

 

彼女は日本建築を勉強するために去年の夏、日本に来ました。

朝起きてから、寝るまでほとんど勉強をしているというリンちゃん。

彼女の勉強に対する熱意、本当、尊敬しています。

 

私は彼女に日本語を、彼女は私に中国語を教え、お互いに意味が通じないときは英語を交えて会話します。

※私の拙い映画を必死に理解してくれます。

 

勤勉、温厚、まじめなリンちゃんは、知らない日本語が出てくるたびに私に聞き、

一日の終わりには新しく聞いた日本語を書き出してノートにまとめます。

※「指サックってどういう意味ですか?」と人生で初めて聞かれました。

 

リンちゃんは私に中国の食べ物、ザーサイや火鍋の素をくれたり、

彼女自身の誕生日には、彼女の大好きなエッグタルトをくれました。

 

「なんで?リンちゃんの誕生日なのに?」

と聞くと、

「中国では誕生日の人が周りに感謝の気持ちを表すためにプレゼントを贈ります」

と。なんと素敵な文化。ちなみに私はきなこあずきプリン(自家製)をあげました。笑

出会ってたったの二か月弱ですが、いつからか私たちはお互いにとって、大切な友人になっていました。

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入れすぎ注意の火鍋の素


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「中国で大人気です!」とローソンのエッグタルトを7個かってたリンちゃん笑


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小豆きなこ豆乳プリン

「感動しました🥺」と言ってくれました。

 

 

価値観も似ている私たちは、お互いにコロナウイルスに対してとても敏感で

マスク・手袋・眼鏡

の三点は必ず装着、アルコールを持ち歩くなど、徹底していました。

その日も、コロナウイルスの話をしていると、

「本当にごめんなさい」

と、リンちゃんが突然。

以下、私たちの会話です。

 

有「え、なにが?」

リ「中国人のせいでコロナウイルスが拡散しました。本当にごめんなさい。」

有「いやいやいや!謝らないで。リンちゃんのせいじゃない!ほんで、こっからはどう広めないか考えるだけだし。少なくともあたしは、くそぉ!中国人め!とか思ってない。」

リ「いえいえいえ、本当・・・ごめんなさい・・・。」

 

私は思わず涙目の彼女をハグしました。日本に来てまだ一年も経っていないリンちゃん

自粛生活が始まってからずーっと申し訳ないと思っていたのかと想像するとたまらなくなりました。この子には傷ついてほしくないと強く思いました。

 

ある時は、彼女が大学院に入るためにレポートの添削もしました。

それがもう・・・とっても大変で。人生で初めて建築家の教授の論文を読み、勉強しました。

A4二枚の文章の添削・修正に二時間以上かかりました。

さすがに辛すぎて途中でやめようかとも思いましたが、私はどうしてもリンちゃんに、希望する教授の元で勉強するという目標を叶えてほしい、力になりたいと思いました。

 

修正したレポートをリンちゃんに送りなおした後、ふと、どうしてこんなにもリンちゃんが大切なんだろうか、と考えてみました。そしてハッとしました。

 

ーリンちゃんをお母さんに重ねているー

 

と。私の母は台湾で父と出会い、一番上の兄を台湾で出産。育児が少し落ち着いた22歳くらいの時に兄を連れて日本に来ました。美容販売員として働いたり、パートをしたり。今より受け入れ態勢が整っていない日本で生き抜いてきました。

今となっては日本語で会話できますが、もちろん当時はつたない片言。

心無い日本人の言葉に傷つけられたこともあり、深い傷を負ったことを私たち家族は知っています。

 

いつからか、温厚でまじめな母とリンちゃん。二人が重なっていました。

 

傷ついてほしくない、「日本に来てよかった」と思ってほしい。

 

母が若い時に友達になれたらよかったな。

決してかなわない希望なのですが、今リンちゃんといることで間接的に

それがかなっているような気がしています。

 

もちろん、リンちゃん自身が好きだから一緒にいるというのは大前提です。

大阪に行ったことがないみたいなので、落ち着いたらリンちゃんを実家に

招待して母と会わせたいな、と思っています。

 

私の大切な友人、リンちゃんのお話でした。