有田あんの記録

劇団鹿殺し劇団員、兼 野生児童主宰です。

丘の上、ねむのき産婦人科


DULL-COLORED POP
「丘の上、ねむのき産婦人科」観劇

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本日夜、表題の舞台を観劇。
久しぶりの小劇場の観劇だった。

とにかく、観て良かった。
そして、台詞が痛かった。よくぞ言ってくれた、とも思った。
色んな年齢層、状況のカップルの会話とそれにまつわる具体的な知識と情報、歴史を2時間でぎゅぎゅっと全部見れて演劇の楽しい、感動した、だけではない、言葉は変かもしれないが「お得感」がすごかった。2時間で今後の人生を大きく変えてくれる。

不妊治療を続けているカップルの女性が若いカップルの女性に向かっていう1人台詞がもう共感の嵐・・・。まさに若い時はまだ早い、お金がない、夢があると思っていた。でも、調べるほど、体力や知識量、精神力はまだなんとかなるかもしれないが、「年齢」だけはお金で買えない。(このことを考える度、何故か映画『永遠に美しく』を思い出す)自分ではどうしようもできないことが妊娠には関わってくることを痛感する。若い時に優先したことが結局歳を重ねるごとに重くのしかかることもある。積み重なる金額と焦り、忍耐力。

妊娠も出産も当然じゃない。

でも、その立場になるまでわからないことが多すぎる。
いざそうなると色んな選択には期限があり、きちんと考えられないまま決断しなければいけないこともある。約10ヶ月、自分の身体が大きく変化していくのに詳しく知らない。「福島三部作」につづき、今回も「演劇でもあり、演劇がメディアとしての役割」を果たしていると感じた。

もちろん勉強になっただけでなく、2時間で沢山笑ったり、共感したり、知らなかったことを知れたりと盛り沢山だった。
改めて、こういう時代に演劇は必要だなって思った。だけど、あと3日しかやっていないから!配信もあるから、ほんと、極力沢山の人に観て欲しい。
そして、配信なら家族で観劇してどんな感想になるかそれぞれ話すのも良いのかもなぁと思ったり。私は観劇中母や姉、家族の顔が浮かんだ。

http://www.dcpop.org/vol23/

ーー以下は今回の観劇で感じた私個人のお話ー
【私が映画制作で目指していること】
私自身が今制作している映画も出生前診断、出産、妊娠、子どもについてのものなのだが、それは友人が出産の時にいろいろ相談してくれたおかげで「自分はなんて無知なんだ。そして、無知であることで救えるものが救えなかったり、選択肢が狭まる」と思い、その彼女が、「この立場になって知ることが多すぎる。誰に聞いたらいいの?誰か取り上げてほしい」と彼女が言ったので「それを演劇でやろう」と決意したことがきっかけだった。そして、制作していく中でよく思い出していたのは「福島三部作」出演時に今回の作・演出である谷さんが「演劇もメディアの一つ」と仰っていたことだった。私はそれがやりたいんだなと思った。演劇を通じてドキュメンタリーではない方法で伝えたい事実があるんだなと。
今作を観て、改めてそれを実感した。谷さんの作品はいつも私を前に突き動かす刺激をくれる。きっと、そういう人多いんじゃないかなと思う。
「知ることは、優しさへの第一歩」
制作中の映画『渇愛の果て、』の副題。知ることで相手の立場になって考える第一歩に繋がるのかなと思う。

【私は子どもが欲しい人です】
ですので、昨年の映画制作と同時に監修医さんの元でブライダルチェックをしたり、国の子宮頸がんの検査、葉酸の摂取などなど、妊娠前にできることを少しずつ始めている。こんなに言っていてまだ予定はないですが、いつか来た時のために!今回の舞台を観て少しでも何か気になった人は思い立ったが吉日!いろいろ調べてみると、「うげー!何も知らんかったー!早めに知っておいてよかったー」ってなると思う。

【感染対策】
この演目は観ようと決めていたが、私自身、ここ最近あまり小劇場を観に行くことに前向きになれていなかった。シンプルにやりたいことが多いのはあるが、
この感染の状況下、少しでもリスクがある行動を控えたいというのがあった。
最近、映画館には前よりよく行くようになったかもしれない。
自分に向かって飛沫が飛んでくるリスクがないから。

舞台の方々もPCRや抗原検査、感染対策をしていることは私自身もこの状況下舞台に出演していたし重々承知しているが、どうしても小さな密閉状態の中に入ることに抵抗があった。
スズナリは私自身流山児事務所さんに出演させていただいた時に立たせていただいたり、観劇も何度かしていて素敵な劇場とは知っていたが正直客席がすごく広いとは思っていなかった。それゆえ躊躇していた。

しかし、ダルカラなら大丈夫、信頼できる、と思い観劇に至った。
劇場入り口、受付前にもアルコールがあり、客席もほぼ私語なし。
(ごく一部いらっしゃいましたが、本当、少しの我慢だから。皆さん周りの方のためにも外でお話しましょう!)
劇場としても換気装置を増設、そして劇団としてもさらにサーキュレーターを増設したそうです。そして「私語はお控えください、直行直帰」のアナウンス。
まじ、これくらい言ってくれる方が私的には安心。
団体の徹底した姿勢が見えるし、正直してくれていてもわからないこともあるので、当日パンフレットにきちんと全て行っている感染対策を書いてくれていて良かった。
安心材料をただやっているだけで終わらずきちんと提示してくれて不安だった小劇場観劇だったけど、観てよかったと思いながら帰れた。